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2020年秋の読書感想文「台湾鉄路千公里」 [読書感想文]

あの頃の小学生の為に、コピペで使える読書感想文と滝沢カレンちゃんみたいな詩人を目指す作文。
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今回の読書感想文は鉄道紀行作家としてメジャー(ボクはこの本を最近知るまで、知らなかった)宮脇俊三「台湾鉄路千公里」
1980年6月の台湾鉄道紀行で、当時、枋寮ー台東間はまだ鉄道で繋がっていなかった。また台湾は1949年から続く戒厳令下にあった。
1926年生まれの著者なので、この紀行時は50代。時代も1980年ともなると、食事の行では、おそらく五香粉が口に合わず、担仔麺の上に乗っているパクチーに怒っていたりして、食文化についても今の時代と違っていたのだ。当時に比べこの2020年、生活は決して豊かになったわけではないだろうけど、食卓の上にあるスパイスは遥か豊かになったと思われる。
事に鉄道ファンの方々において、その趣味におけるクドさ的なものに辟易する時もあるがこの著書では、自分で自分の事をディレッタントと押し付けてこない嫌味の無さが小気味良く大変に面白く読めた本でした。対極の面白さで言うと内田百閒先生の阿房列車かな。紀行文で言うと、40代も半ばを過ぎて始めて深夜特急を読みましたが、あの70年代の若者の嫌いな方の雰囲気でな、ユーラシア大陸バスで移動を選択するオレ、的な時代感がな。そういう自分を求めてるけど、実際はどうしようもなくつまらないどこまでも普通の当時の兄さん達の自己肯定の為に投影される主人公像を求めるマーケットって今でもあるんだろうな。「台湾鉄路千公里」と百閒先生はイン、深夜特急はアウト。キンドルで読んだ珍夜特急は最高にオモロくてイン。

ナショナリズムも、今の緊張感はなかっただろう。台湾と中国の差が、どことなく曖昧な認識に思っていることに対する自省を感じる文章もある。とは、言いつつ、随所に当時の台湾の戒厳令下を感じさせる記述があり、またそれにも関わらず活気のある人々の行き交いもある。そこを読ませる作者の上手さがあるのだろう、大変に面白い鉄道紀行だった。
ちなみに桃園空港から台北へ向かうバスの中でアソビの商談を持ちかけられたり、ホテルに宿泊すればアソビを薦められる記述がたびたびあって、あまり小学生の休み期間の読書感想文には向かないかな。担任の先生の資質次第か。

この後、1985年からの中国鉄道紀行も読んでみたけど、これはちょっとクドさが出ていてはいるが、台湾ほど自由に行ったり来たり出来ない鉄道旅行記となっていて、その差は読む価値があると思う。

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